夏場の肌の敵は紫外線だけではありません。日本の夏は世界でも1.2を争うほど厳しいと言われています。
その理由が「湿気」。
雨でもないのに湿度は80~90%を推移するほどの異常気象。大体5月下旬くらいから気温がぐんぐん上昇し、9月下旬頃まで続きます。それぞれの汗対策・紫外線対策を実践されていることと思いますが、この記事では、あなたが実践しているその対策方法について警鐘を一つ鳴らしたいと思います。
汗ふきシートはその場しのぎにしかならない
汗ふきシート、あなたも使ったことがあるでしょう。汗ふきシートに含まれている成分は、揮発性のあるアルコール成分が主で、一瞬の気持ちよさをだけを体感できるものです。あなたは一瞬の気持ちよさを得るためだけに汗ふきシートを使い、そして肌を傷付けてしまっているのです。
汗ふきシートを使うことで肌の保湿成分が根こそぎ奪われる
顔の皮膚は、他の部位と異なり非常に精巧で弱い(薄い)構造です。
従って、汗ふきシートのような繊維が粗い素材でゴシゴシと拭き取ると、それがフックのように表皮を掻き取り、皮膚がむき出しの状態になってしまいます。表皮に存在する貴重な保湿成分が汗ふきシートによって奪われてしまうため、外気や紫外線によってダメージを受け放題となります。
だからこまめに汗を拭いて清潔に保っているつもりでも、オフィスや室内の冷房が効いた部屋では肌が乾燥したり、ニキビが異常にできやすかったり、日焼けによるシミができやすかったりするのです。
この汗の対処を間違えることで、一瞬の快楽によって、今後一生消えないニキビ跡や、あせもによる肌荒れを引き起こすことになるのです。
汗対策のポイントは保湿成分と制汗成分の両立
具体的な汗対策としては、汗をしっかり抑えながら、先程から何度か登場している保湿成分を肌に「残す」ということです。
汗は汗腺から放出し、皮脂は皮脂腺から分泌します。汗は99%が水分であるため、そのほとんどは無害です。ただ、温度が高くなると毛穴も開きやすくなり、皮脂も大量に分泌されます。皮脂は数時間足らずで腐り、過酸化脂質に変わり、肌荒れの原因となります。
理想は「保湿成分」と「制汗成分」を両方含んだ化粧品あるいは制汗剤を肌に塗布すればいいのですが、現状そういった化粧品はありません。
サラフェなど顔用制汗剤についてその効果を確認しましたが、残念ながら保湿成分がほとんど含まれていません。
これはこれで制汗剤として優れているのでいいのですが、それと併せてセラミドなど科学的実証のある保湿成分を配合した化粧品を使っていくことが現状一番良い対策ではと考えております。
男性用 夏場の汗対策
汗っかきな人もそうでない人も、夏に一滴も汗をかかない人はいないと思います。
汗にはアンモニアや塩分・ミネラルが含まれ、99%が「水」です。通常無色・無菌ですが、現代人は夏場以外でほとんど汗をかく習慣がありません。そういった方が夏に一気にかく汗はいわゆる「悪性の汗」として発汗され、肌の上の常在菌と反応し菌が増殖します。これはアンモニアが皮膚表面と反応しアルカリ化する作用があるため、雑菌の繁殖を促しているのです。
菌の増殖はニオイや肌荒れの原因となるため、日中は制汗シート等で肌に汗を残さないケアが重要となってきます。
「夏場は乾燥しないからスキンケアは必要ない」という方をよく見ますが、これは間違い。夏場は紫外線など肌にとって最も物理的な負荷がかかる季節。化粧水・美容液等の保湿ケアは必ず行い、クールダウンに努めましょう。また、紫外線を浴びることで肌が硬化し黒ずみを引き起こします。1週間に1度のピーリングも夏場は行うようにしましょう。
▶男性用の日焼け止め/UVケア化粧品の選び方・紫外線対策の基本
汗ふきシートはさっさと捨てる
高校生や大学生で、制汗シートをゴシゴシと拭いているのをよく見ます。
あれは絶対にやってはいけません。
確かに気持ちよくていいでしょうが、肌に負担がかかり、皮脂を根こそぎ持って行っているため、あれでは余計に皮脂の分泌が行われてしまいます。同じようにタオルでこまめに顔を拭くのもNG。女性であればやりがちでしょうが、タオルやハンカチの場合、繊維がとても荒いため肌を傷つけてしまいます。また潤いがなくなったと肌が勘違いしてしまうため、皮脂の余剰分泌、発汗が行われてしまいます。基本は押し拭きです。
更に制汗シートはしっかり汗を拭き取った上に使用しましょう。制汗剤と言われるものには、汗腺を塞ぐ効果があります。よって、少なからず肌に負担がかかるものだということを理解しておきましょう。黒ずみや肌荒れの原因にもなりますので、あまりに効果が高い制汗剤は使用を控えめにすることをおすすめします。
制汗剤クリームが肌荒れ・ニキビの原因?夏のスキンケア対策
夏の肌荒れ対策として、この汗や皮脂の予防は欠かせません。放置すれば過酸化脂質に変化し、肌荒れやニキビ、体臭・汗臭の元にもなります。ここで多くの方まず最初に考えるのが制汗剤や香りを出すデオドラント剤による汗・ニオイ対策でしょう。
顔に使えるものは極わずかですが、制汗クリームや皮脂吸収クリーム、専用の化粧品も存在します。しかし制汗剤というのは汗腺の中の「汗孔」と呼ばれる汗の吹き出し口を塞ぐアイテムです。汗本来の「体温調節」という機能を損なわせる原因になりますので、積極的に活用するものではありません。
皮脂吸収クリームについても、肌の乾燥を急激に進めるものですのでその場しのぎにはなるものの、「化粧品依存」を招き、これを使っていないときは肌はボロボロということにもなりかねません。
濡れタオル
女性であれば日常的な光景ですが、夏になると男性の方でもタオルを常備し、顔の汗を拭き取っているのを目にします。しかしそのほとんどは「乾いたタオル」を使用されているかと思います。実は乾いたタオルでは汗は拭き取れても皮脂は拭き取れないため、スキンケアやニオイ対策という点においてはあまり効果がありません。
見た目上の汗が拭き取れるだけで肌はヌメヌメしているはずです。これを防ぐために、「濡れタオル」を用いるのです。洗顔ペーパーでもいいのですが、毒性が強い化学合成成分が配合されていることもあるためあまり推奨しません。そもそも汗も皮脂も水溶性なので「洗浄力」自体が不要です。
あぶらとり紙
濡れタオルを常に携帯するというのは正直難しいかもしれません。私はビニール袋と濡れてもいいタオルと乾いたタオルを持って出かけ、トイレなどでケアしていますが、結構手間ですよね。そんなときはあぶらとり紙が役立ちます。
乾いたタオルで取れなかった皮脂浮きをあぶらとり紙で取ります。逆にあぶらとり紙は汗を取ることができないため、乾いたタオルで汗を拭き取った後に使用するといいでしょう。
乳液を無理して使用する必要はない
基礎化粧品を使用されている方は、無理して乳液などの油分系化粧品を使用する必要はありません。乳液の目的はあくまで「油分補給」ですので、汗や脂浮きが活発になりがちな夏にわざわざ使用する理由がないのです。
化粧品知識が希薄だと、なんでも使用すればいいと思われがちですが、各化粧品の目的や用途は必ず知った上で使うようにして、日々の肌の状態に合わせて変えていくことが正しいスキンケアなのです。特に乳液は肌トラブルを引き起こす代表的な基礎化粧品の一つであるため注意してください。
代謝活動を邪魔するようなケアは肌を傷つける
ウォータープルーフ素材や制汗剤など、何かを「抑制する」という化粧品は必ず肌を傷つけます。しかし私はこれを否定しません。「絶対に失敗したくないとき」「汗をかきたくないとき」「綺麗に見せたいとき」というシーンは誰しも存在し、そんなときに化粧品はとても役立つからです。
しかしこうした場面が日常的に続くことは普通の人からしたらありえませんから、毎日使うものではないということを覚えておきましょう。
夏のスキンケアにおいて大切なことは、人間の体で起きている通常の代謝活動を妨げず、日々のスキンケアに徹することです。
・制汗シートはスキンケア用品ではない
・汗はタオルで押し拭き、こすらない
・制汗剤はローション又はクリーム系のものを使う
・制汗剤には保湿成分が含まれていない、保湿成分重視の化粧品をスキンケアに取り入れる
夏のスキンケアにおいて守らなければいけないのは紫外線だけではなく、汗対策も必須です。この汗対策を十分に行うことで、汗疹やニキビ、ニキビ跡の未然の防止につながることを覚えておいてください。