「抗酸化作用のあるビタミンCを摂ればニキビに効く!」
そんなことを聞いたことがある方は非常に多いと思います。しかし、ビタミンCを摂ればニキビが治るということではなく、総合的に私たちの体内でビタミンが欠乏しているためニキビや肌荒れが起きていると考えた方がいいでしょう。
洋食文化が急速に広まり、野菜を皮付きで食べたり、玄米や果物、顎を使う機会が減少しました。その代替として、脂っこい洋食やお菓子、肉、軟らかいものばかりを摂るようになりました。
単純にビタミンが欠乏していることもそうですが、食物繊維や発酵食品から得られる乳酸菌類なども欠乏しているというデータがあります。便秘に伴うニキビも最近ではよく聞かれます。一つの影響によってニキビが起こるということはなく、その対処法としても総合的な対策を取る必要があるのです。
ビタミンは「毎日摂取」が基本
ビタミンCなどの水溶性ビタミンは体の中で摂り溜めすることができず、毎日排出されてしまうため、基本的に毎日摂取する必要があります。
ビタミンCは体を酸化(腐敗)させる活性酸素を除去する力があります。活性酸素はニキビや肌荒れの元となる過酸化脂質を生成してしまうため、ニキビ用化粧品などには抗酸化作用の成分を配合している場合がほとんどです。
しかしビタミンCの特性上「今・この瞬間」体内で不足していなければそれが取り込まれることはありません。つまり、1日単位で基準量を摂取していても、それを摂取している時間帯がビタミンCが満ち足りている頃であれば意味が無いのです。ビタミンCは1日の中でもこまめに摂取することが重要です。
そして、ビタミンCが身体に十分に備わっていても、その他のビタミンBやビタミンEなどが不足していれば論外。肌荒れやニキビ対策のために「ビタミンCのみ」摂取すれば良いという単純なことではないのです。
ビタミンと皮膚
ここでは皮膚に働きかける主なビタミンを紹介します。
ビタミン | 主成分 | |
脂溶性ビタミン | A | レチノール |
D | エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール | |
E | トコフェロール | |
水溶性ビタミン | B | ナイアシン、リボフラビン(B2)、ピリドキシン(B6) |
C | アスコルビン酸 |
これらを総合的にバランス良く摂取していくことが重要です。
ビタミンC
ビタミンCはとても強い抗酸化力を持った代表的な抗酸化成分です。特徴としては、食事や錠剤として体に摂り入れなくても、化粧品のように体の外側から塗布することでも傷ついた細胞を再生させることができます。
また化粧品でなくとも、レモン汁を漬けたタオルで体や顔の皮膚をマッサージするだけでもビタミンCの抗酸化力が直接皮脂腺に作用し、殺菌・抗菌・肌の再生を行ってくれます。活性酸素や紫外線によって傷つけられた肌を修復し、また加齢臭なども予防することができます。もちろんこれはビタミンC誘導体が配合された化粧品においても同様です。
ビタミンC誘導体の化粧品は皮脂の分泌を抑え、ニキビ跡や毛穴の開きを修復する効果もあります。具体的には「テトラヘキシルデカン酸アスコルビル」「リン酸アスコルビン」「パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na」と表記されたものはビタミンC誘導体の中でも非常に浸透力に優れた成分で肌への刺激が少ないと言われています。
肌荒れ対策・ニキビ対策・毛穴対策の化粧品にはまず間違いなくビタミンC誘導体が配合されています。より効果を実感したい場合はこれらの表記に注目してみてください。
ビタミンE
食べ盛りの男性や肥満傾向にある男性の場合、皮脂の量が過剰であったり、汗が脂っぽいという方が多いと思いますが、このベタついた分泌物は放置していると肌の上で酸化してしまい、肌荒れやニキビを発症させてしまいます。
これを防ぐ働きがあるのがビタミンEです。ビタミンEは「若返りビタミン」と言われており、脂の酸化を防ぐ、強い抗酸化力があります。この力を高めるのがビタミンCであり、相互に摂取することでビタミンEの抗酸化力がさらに強くなります。ビタミンEは熱に弱いためできるだけ生の状態で摂取することがポイントです。
ビタミンDは紫外線を浴びることで体内で生成できる
ビタミンの中でもビタミンDについては、食べ物や化粧品による摂取が難しいものだとされています。しかしそれを特別に摂取しようと思わなくても、身近なもので自然に身体に取り入れることができます。それが「紫外線」です。
むしろ、この紫外線に対して最近特に悪者扱いされているため、男女ともに「ビタミンD欠乏症」が起こっています。ビタミンDが欠乏すると骨が弱くなり骨粗しょう症リスクが急上昇します。UVケアは、しっかり浴びてしっかり守ることが基本であり、完全に太陽を遮断する生活をしていると、肌を守る以前に健康面で被害が出てしまいます。
【参考】日焼け止め/UVケア化粧品の選び方/日本人は紫外線を怖がりすぎ
ビタミンE、ビタミンCを多く含んだ食品
最近の研究では、皮膚毛細血管の酸化によって真皮に影響を与えていることが分かりました。皮膚毛細血管の酸化を予防・改善するためには、真皮に届かない化粧品を肌の上にベタベタ塗ってもあまり効果がありません。従って、化粧品よりも経口摂取による食べ物によるビタミン補給が肌には有効だと言われています。
ビタミンEを含む主な食品
- 野菜類
アスパラガス、アボカド、かぼちゃ、さつまいも、大根の葉、たけのこ、ニラ、ほうれん草、春菊 - 魚介類
うなぎ、カレイ、鮭、サバ、ししゃも、いくら、ブリ、ホタテ、マグロ - 果物
キウイ、ブルーベリー、プルーン - その他
玄米、胚芽米、アーモンド、ピーナッツ、コーン油、菜種油、ヒマワリ油
ビタミンCを含む主な食品
- 野菜類
パセリ、ブロッコリー、芽キャベツ、ししとう、ピーマン、小松菜、ほうれん草、シソ葉、サヤエンドウ、アサツキ、チンゲン菜、わけぎ、葉ネギ、ニラ、春菊、トマト - 果物
アセロラ、イチゴ、キウイ、甘柿、ネーブル、レモン、オレンジ、夏みかん、グレープフルーツ、はっさく、みかん
ビタミンCは必ず野菜としての“かたち”で摂取しましょう。
やってはいけない摂取方法は、野菜ジュースによる摂取・サプリメントによる摂取です。理由は、吸収率がまるで違うからです。
野菜そのものを食べることでの摂取方法と、野菜ジュースやサプリメントなどの状態での摂取では尿の色が全く違います。前者の場合、尿が無色透明なのに対し、後者による場合は黄色の尿として排泄されてしまいました。これは栄養が体内に取り込めずに流れてしまっていること意味します。添加物が非常に多いため体内でうまく摂取できていない証拠です。
またビタミンCはとても熱に弱いため、温野菜として摂取する場合は量も嵩増しして摂るようにしましょう。加熱することで体を冷やさない効果もあるため、季節や体調によって調節し、出来るだけ毎日摂取するよう心がけましょう。1日の摂取目安量は200gで、代表的な野菜のビタミンC含有量は以下の通りです。
野菜100g当たりのビタミンC含有量(単位:mg)
赤パプリカ:170
黄パプリカ:150
パセリ:120
ブロッコリー:120
レモン:100
カリフラワー:81
ほうれんそう:35
チンゲン菜:24
ニラ:19
トマト:15
きゅうり:14
大根:13
レタス:5
にんじん:4
ビタミンCというとレモンを多く想像されると思いますが、意外にもパプリカやブロッコリー系の野菜の方が多く含まれていることがわかります。こういった緑黄色野菜にはβカロテンも多く含まれており、抗酸化作用の効果があり体内ではビタミンAの効果としても働いてくれます。1度で2度おいしい緑黄色野菜は是非毎日の食卓に並ばせたいものです。
皮膚を美しく保つためには化粧品が得意とする領域と、食品が得意とする領域が存在します。ニキビや肌荒れについてもその特性や、肌の上・中で実際に起こっている状況を把握し、どれが最適なのか考えて実践するようにしましょう。闇雲にビタミンを摂取してもそれが本当にビタミン不足で起こっているかもまた疑問。スキンケアそのものに問題があることもありますし、その他の食生活に問題があることも考えられます。