化粧水スプレーは非常に便利です。顔全体に満遍なく吹きかけることが可能で、さらに容器自体がボトルで、密閉式、ワンプッシュで必要量だけ取り出せるため持ち運び用にも適しています。
ただ、化粧水スプレーはあくまで「化粧水」。また噴霧できるほど成分が軽いため「ほぼ水」。ハッキリ言えば無意味です。例えば「美容液スプレー」が無いのは、美容液が油溶性の成分を中心とした化粧品だからです。粘性が強い成分を配合することは難しいのです。化粧水だけでは肌の乾燥を抑えられない方も多いと思いますが、化粧水スプレーだけではむしろ肌の乾燥を誘発してしまう恐れがあるのです。
スプレータイプにこだわりがなければ、普通の化粧品を持ち歩いたほうがスキンケアのことを考えた対策と言え、わざわざ化粧水スプレーを使用する理由は無いと言えます。商品の本来持つ目的を忘れずに正しいスキンケアを実践していきましょう。
外出先における正しい乾燥対策
私も乾燥が気になり、当初は女性社員の真似事で同じようなことをしていました。その当時は化粧水や美容液の目的を把握しておらず、市販の化粧水スプレーを買って、冬場の乾燥が気になる時期は多用していました。しかし、化粧水は約90%が水分で構成されており、ほとんど「水」。
水はもともと「乾燥」する性質を持っており、化粧水が乾燥するときは肌の水分まで持って行ってしまうためかえって乾燥を増進させてしまうのです。
新聞紙に水を垂らすと、時間が経てばくるくると乾いて丸くなります。これが肌の上でも起きて、皮膚がめくり上がりその隙間から肌の水分や保湿成分が飛んで行ってしまうのです。
化粧水スプレーを用いる場合は、保湿成分を含んだ美容液を併せて使用するか、保湿効果の高いオールインワン化粧品を使用する方が効率的(むしろ化粧水スプレーは不要)。
言い方を変えれば、化粧水であっても保湿成分がしっかり配合されているものであれば乾燥対策として使用することができます。
また「保湿=油分」ではありませんので、乳液を外出時に使用することは避けてください。乳液の目的は「油分の補給」です。保湿とは少し意味が違ったものとなります。
効果の高い保湿成分
ではどういった成分が配合された化粧品を使えばいいのか。男性であればちんぷんかんぷんですよね。やらないよりはやった方がいいのでは?と思ってこの記事にたどり着いたはずだと思います。そこで、ここでは具体的に効果のある保湿成分を紹介していきます。
セラミド
セラミドとは、皮膚の表面で肌の乾燥・水分蒸発を防いでいるレンガ上の成分です。セラミドは全部で6種類あり、成分表示には「セラミド1」「セラミド2」といったように記載されています。セラミドは全成分のなかで最も保湿力が高い成分で、湿度0%の環境においても蒸発せず、肌内部の水分を強力な吸水力で逃さないように働きかけます。
非常に高価な「脂溶性成分」なので、市販1000円以下の化粧品や、水ベースの化粧水に含まれることはありません。セラミドを使い続けることで肌の保湿体力が付き、「乾きにくい肌」を手に入れることができます。もし乾燥にひどく悩まれているようでしたらセラミド配合の化粧品が最も効果が期待できます。
ヒアルロン酸
保湿や乾燥対策として最も有名なのはヒアルロン酸ではないでしょうか。ヒアルロン酸は水分を覆いこむように吸着し、ヒアルロン酸1gに対し水6Lを保水させると言われています。
しかし、ヒアルロン酸は「真皮」と言われる肌の奥底で効果を発揮する成分で、皮膚の上から取り入れるヒアルロン酸は真皮中にまで届かないと言われています。
コラーゲンについても全く同じことが言われます。セラミドは皮膚の表面で直に働くため高い実感と効果を感じることができますが、ヒアルロン酸とコラーゲンについては、その場しのぎの保湿の実感を得るにとどまっているのです。そこで、その肌への浸透力を高めた「S-ヒアルロン酸(アセチルヒアルロン酸)」が開発されました。もしセラミド配合の化粧品が見つからない場合は、S-ヒアルロン酸配合の化粧品を選ぶといいでしょう。
持ち運びに便利な美容液
実際に私が持ち運びに使用しているのはアクアモイスとPOLAマージェンスです。
どちらも保湿力に優れており性能については申し分ありません。持ち運びに便利だという理由は、ボトル式であることと、プッシュ式であることです。
ボトル式である利点は、他の荷物に潰れても溢れる心配が無いということです。チューブ式はかさばると中で液漏れする可能性があります。
プッシュ式の利点は、使う量をコントロールできること、そしてこれも液漏れの心配がないことです。シルバーエッセンスもボトル式ですが、蓋が外れた場合、最悪全部こぼれてしまう可能性もあります。
この二つをクリアしたアクアモイスとPOLAは本当に持ち運びに優れています。機能性と、成分効果をじっくり把握した上で商品を選ぶ癖をつけるようにしましょう。
また、家でじっくりスキンケアをする場合は先程解説したセラミドが配合された化粧品がおすすめです。
部屋の中・会社オフィス内の乾燥肌対策で気を付けること
外に出ていないのに肌が乾燥してしまう一番の原因は「エアコン」によるものです。1人で部屋にいるときであればそんなに問題にはなりませんが、エアコンの空気は、部屋の中の湿度を奪い除湿する働きがあるため、ひどく肌が乾燥してしまうのです。
夏の湿った季節には良いかもしれませんが、それでも直接風を受けるような場所で仕事をしていると夏であっても乾燥してしまいます。
また、外装・壁の作りによっても外気の影響を受け室内が乾燥してしまうこともあります。自宅であれば、厚手のカーテンをかけたり、オフィスであれば座席を壁際ではなく中心の辺りに移してもらうなど協力してもらいましょう(男性の場合は現実的に難しいが…)。
部屋の中・会社内でできる簡単な乾燥対策
自宅や会社でできる簡単な乾燥対策を解説します。
加湿器を使用
デスクトップ用の小さな加湿器を設置するだけでも十分な乾燥対策が行えます。特殊な性能や高価なものでなくて構いません。物理的に水分が身の回りにあるだけで、湿度が高まり乾燥を防ぐことができます。コップ一杯分の水を机においておくだけでも効果があります。やるとやらないでは全く効果が違うので是非試して下さい。
水分補給
肌の水分は、化粧品ではなく、「水分補給」でしか補うことができません。「喉が渇いた」と思った時には体の中の水分自体が危険にさらされている状況をいい、皮膚表面も乾燥していきます。夏でそれがわかりにくいのは汗や皮脂を分泌して体がべたついているからです。
人間の体の構造上、成人男性は1日3リットル以上の水を飲むことが推奨されています。しかしほとんどの方がそれを実行できていません。化粧水という数mlの効果がこの3リットルと太刀打ちできるはずがありません。
水分補給を行う上での注意点~ドカ飲み禁止!
成人男性に必要な水分量は3リットルと解説しましたが、一度に一気に3リットルもの水を飲んでも、尿として排泄されおしまいです。体全体に行き渡らせるために時間をかけてちびちび飲んでいくのがポイント。1日の中で計画的に少しづつ飲んでいきましょう。
保湿専用化粧品
私達の肌が乾燥してしまう原因は、皮膚表面の保湿成分が奪われてしまっているからです。その保湿成分を補給するための化粧品を用意しておくことが一番物理的な対策として有効です。具体的な成分で言うとセラミド・アミノ酸・ヒアルロン酸など。
あまり「化粧水」「乳液」といった分類・ジャンルで選ぶ必要はありません。あくまで化粧品を使用する目的は、自分の肌が必要としている成分を補給するためなので、「成分として」何が不足しているか考えて使っていきましょう。
やってはいけない乾燥対策
次に、私達がよくやりがちな「間違った乾燥対策」について解説していきます。
スプレー化粧水
結論から言うと、このスプレー化粧水はあまり効果がありません。確かに一時的に肌の水分を得ることができますが、本当に一時的。例えば、乾燥した唇をペロッと舐めても、時間が経てばカサカサに乾燥してしまいますよね。スプレー化粧水も同様、90%以上が水分で、保湿成分の配合はほとんどありません。
これなら、保湿用の化粧品を1つ携帯した方が効率的です。
顔を洗う・一時的に肌に水分をもたせる
これもスプレー化粧水と同じですが、顔に水分を持たせることは「乾燥対策」ではありません。乾燥肌の方が一番誤解しているのは、「水分」が乾燥対策として一番いいと思ってしまっていることです。その理解は逆で、むしろ「水分」というのは乾燥を呼び起こすものなんです。
先ほどの唇の例もそうですが、水というのは外気の影響を最も受ける性質なので、空気が乾燥していればそれと一緒に気化して肌をカラカラにしてしまうのです。
まとめ~室内・オフィスの乾燥対策で気を付けること
室内で最も気を付けるのは「エアコン」です。
最初にこれを説明させていただいたのもそうですが、エアコンは空気中の水分を奪ってしまうため、その風に当たらないように、また加湿器を同時に使用して対策を取るようにしてください。
特に夏場は外に出れば湿気が強くなるので、対策を怠りがちですが、紫外線も皮膚組織を壊して肌内部の水分を奪っていきます。湿度が高いのに肌が乾燥していると思ったら、注意が必要かもしれません。