シミと骨粗鬆症どっちを守る?紫外線の驚異と恩恵を知り正しく日光浴しよう

今更、声高らかに言うことではありませんが、紫外線は肌のシミを作る原因の一つです。最近では、ゴミを出すにも日焼け止め、洗濯物を干すのにも日焼け止め、出かけるときは日傘に帽子にストールに…何かと過剰に防御されておられる“意識の高い”女性たちを見かけます。

しかしこれによって確かに紫外線は守れていますが、体内部はぼろぼろになっているのをご存知でしょうか。

紫外線を守りすぎて骨粗鬆症の患者が急増

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、簡単に言うと骨がスカスカになってしまう症状をいいます。骨の太さは変わらず、密度が薄くなり、まるで麩菓子のような骨になってしまう症状です。

なぜ紫外線から身を守りすぎると骨粗鬆症になってしまうかというと、ビタミンDが不足しているからです。

人間は紫外線を浴びることでのみ体内でビタミンDを生成することができます。食品から得ることも可能ですが、鮭や秋刀魚、カレイなどの魚類に多く含まれているため、毎日安定的に摂取することは難しく、更に体内で溜めておくことができないのが特徴です。

ビタミンDはカルシウムと共に摂取することで骨の強度を高めてくれる性質を持っています。カルシウムだけでは非常に吸収率が悪く、魚をあまり食べる習慣のない欧米ではミルクの中にビタミンDを添加し販売しています。

このビタミンDが不足することで、骨の強度がどんどん弱まり、骨粗鬆症患者が近年急激に増加しているというのです。また骨の強さはホルモンバランスと密接な関係があるので、女性であれば更年期障害を誘発したり、男性は加齢臭やストレスを感じやすくなります。

サウジアラビアの骨粗鬆症患者

サウジアラビアの女性は、外出時は黒いマントを羽織り紫外線を完全にカットしています。

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なお、日本人も負けていません。

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このサウジアラビアと同じ、赤道直下のシンガポールの女性の血中濃度からビタミンDの割合を調査したところ、シンガポールの女性の方がビタミンDの濃度が高いと報告されたそうです(日本骨代謝学会)。実際にサウジアラビアの骨粗鬆症患者は年々増え続け社会問題にも発展しています。

人ごとのように感じますが、日本人も自覚症状のない患者を含めて約1000万人が骨粗鬆症を発症していると言われています。しかもその8割が女性という結果です。

最近は男性化粧品市場が非常に勢いを見せているといいます。とても嬉しいことですが、これによって世の日本男児が間違った紫外線の防御を始めれば、骨粗鬆症患者の割合が5:5に近づくのも遅くはありません。

そんな危機的状況を打破するために、私はあえて「紫外線を浴びよう!」と言いたいのです。

もちろん、紫外線を浴びることでシミやシワ、肌老化になるリスクは高まります。しかし、1日15分~30分程度の照射であれば人体には全く影響はなく、むしろビタミンDの生成が促され、健康的にも非常に良好になると皮膚科医や専門家の方は分析しています。

肌を守るか、身体内部を守るか、答えは明らかですが、女性たちには響きません。せめて日本の男性たちは、紫外線をそんなに怖がらないでいただきたいと思います。

男性に日焼け止めは必要?紫外線が肌に与える「良い」影響

日傘男子」というワードが話題になったり、男性も美白やスキンケアに気を使う時代になってきました。しかし、過剰な紫外線対策は上記に挙げたように健康を害する恐れがあります。

確かに紫外線を浴びると日焼けによってメラニンが生成され、シミやシワ、肌内部へのダメージの蓄積となりますが、肌の働きを助け免疫力をあげる効果もあるのです。

日焼け止めを男性も使うべきか否かという議論は毎シーズン繰り返されますが、結論としては「使うべき」です。しかし、利用するのであればなぜ利用すべきなのか、利用することによって起こる弊害や、紫外線の持つ効果についても学ぶべきでしょう。

紫外線を浴びることでビタミンDが生成!肌へのメリットがたくさん

紫外線の恩恵としてまず挙げられるのが、繰り返しになりますが「ビタミンD」です。

人間に必須の栄養素ビタミンDは、紫外線を浴びることで自然生成することができます(自然生成できるビタミンはビタミンDだけ)。紫外線が皮膚に照射されるとコレステロールが変化し体内で蓄積されるのです。

ビタミンDはニキビの増殖を抑制したり、肌のバリア機能を高め肌が生まれ変わる働きであるターンオーバーを整える効果があります。規則正しく毎日太陽光(紫外線)を浴びた生活を送っていると人の肌には以下のような効果があります。

  • 肌の水分が保持されやすくなる
  • バリア機能が高まり外界からの刺激を受けにくくなる
  • くすんだ肌のキメが整い透明感が増す
  • 肌にハリやツヤを与える

もちろんビタミンDのみで整うわけではありませんが、ターンオーバーを整える=美肌への近道となります。また他の栄養素と違って、ビタミンDは紫外線が直接肌に当たることで生成・蓄積するため紫外線から完全にシャットアウトした生活をするのはとてももったいないのです。

また、ビタミンDが持つ皮膚を殺菌・免疫力を高める効果はアトピーやアレルギーなど肌が弱い方にも有効な成分とされています。

ビタミンDが不足すると骨や歯、頭皮にも悪影響

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり骨粗鬆症予防に効果的です。更に歯や薄毛予防にも欠かせない栄養素。ビタミンDが不足すると虫歯になりやすく進行しやすいとされているので、化粧品だけに頼ったケアをしていれば、肌は綺麗に見えても歯や骨がボロボロになってしまうのです。

また、活動停止した細胞(毛母細胞)を活性化させる働きがあり発毛を助ける効果があるため薄毛予防にもうってつけです。ただ、血中のカルシウム濃度が濃くなりすぎると病気を引き起こしやすくなるためビタミンDを過度に取り入れないように注意が必要です。

紫外線を浴びることでセロトニンが分泌~体内時計を整えストレス解消

太陽光にはもうひとつ、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンを活性化させる力を持っています。

セロトニンは主に自律神経に働きかけ、体内時計を整え規則正しく深い睡眠を促したり、不安やストレスを抑制する働きがあります。肌は睡眠時のみ修復、再生されるので肌にとって規則正しい生活は必要不可欠です。

また、日照時間が少ない地域や冬季などはうつ病患者が増える傾向にあることが分かっています。セロトニンの減少はストレスを感じやすくホルモンバランスを乱れさせ、心の病や肌荒れの原因となりますから気分が落ち込んでいる時は日光浴がおすすめです。

例えば南国の方たちが陽気でいつも楽しそうにしているのにはこうした科学的な根拠もあるわけです。

適度な日光浴は肌にとっても必要不可欠

紫外線は長時間浴びることにより、皮膚に炎症を起こしたり「光老化」ともいわれるシミ・シワの影響となるのは確かです。しかし、美白を追求するあまりに健康を損なっては元も子もありませんよね。

ビタミンDは1日15分ほどのわずかな日光浴で充分な量を生成することができます。ただ10〜14時付近の紫外線が強い時間帯は避け、紫外線が強すぎない朝方の時間を活用するのがおすすめです。

またもう一つ注意点としては、ビタミンD生成を促す効果があるのはUV-B波であるという点。紫外線はUV-A波、B波、C波に分けられます。地上に届き肌に影響を与えるとされているのは、肌の真皮にまで影響を与えるA波と肌の表皮に影響を与えるB波の2種類です。

A波(UV-A) B波(UV-B)
範囲 ・生活紫外線
・長波長紫外線
・中波長紫外線
・レジャー紫外線
全紫外線の90%を占める。人体への影響は少ないが窓ガラスや洋服を透過し、真皮にまで到達する。曇りや雨の日を含め一年中照射されているのはA波。 全紫外線の10%程度を占める。エネルギーが非常に強く、サンバーンなど急性皮膚炎を起こす可能性も。透過性はなく、窓ガラスや洋服など物理的な防御で守ることができる。リゾート地などで注意が必要なのはB波。日本にいても夏場の紫外線や、オフィスビル・ゴルフ場・ゲレンデの照り返しは非常に強い紫外線であるため注意が必要。
強度 肌のハリと弾力を保つ真皮中のコラーゲン、エラスチンが長年に渡ってジワジワ破壊される。これによってシワ・たるみといった症状や、生成されたメラノサイトによるシミが起きる 強烈な太陽光で肌がバーナーで炙られたような、やけど状態になるサンバーン
地上に到達する前にそのほとんどが消えてしまうが、到達したB波はA波の1000倍の力を持つ。
作用 サンタン、光老化 サンバーン、サンタン、光老化、落屑
防御指標 PA SPF

参考:男性向け紫外線対策の基礎知識

例えば日焼けサロンの紫外線は真皮のメラノサイトを活性化させるUV-A波を使用しているためビタミンDの生成は難しく、それ以上に肌に与えるダメージの方が大きくなります。

また、A波は窓ガラスや服を通り肌に影響を与えることができますが、B波は通過できません。従ってオフィスワークが多い方や全身日焼け止めを塗り紫外線対策バッチリで外出する方は、ビタミンDが欠乏している可能性があります。

営業マンであれば日焼け止めを適度に塗って日傘などささずしっかり太陽光を浴びる、オフィスワークが多い内勤の方であれば特にケアをせずお昼休憩などに積極的に外に出るなど、メリハリのある生活習慣を送ることが賢い日焼け対策です。