ココナッツオイルは、ココヤシの実から取れる植物油の一種で、分類上は牛脂やバターなどと同じ常温で固形の飽和脂肪酸です。
一般的に安全性が高い「オメガ3」と言われているαリノレン酸を含んだ油(亜麻仁油、えごま油、魚油)は不飽和脂肪酸です。
テレビ番組(「バイキング」など)でも危険性が取り上げられましたが、この飽和脂肪酸に該当する油を肌に塗ると、肌の上で固まってしまうため酸化しやすくなります。スキンケアのためには使用するべきではないでしょう。
ココナッツオイルは化粧品ではない
まず、ココナッツオイルは化粧品ではありません。
「肌に塗ることが“できる”」という話であって、美容効果が特別に優れているわけではありません。
通常の油よりも酸化しづらいとは言われているものの、ワセリンの方が酸化しづらいのは言うまでもなく、安価なココナッツオイルを使えば不要な合成成分や粗悪な成分が配合されかえって肌を傷付けることにもなり兼ねません。
エクストラバージンココナッツオイル
どうしてもココナッツオイルを肌に塗りたい場合は、ココナッツオイルの表記と精製方法を確認するようにしてください。
表記については、エクストラバージンココナッツオイルと書かれているものを使用してください。精製方法については、低温で圧搾したコールドプレスであることを確認するようにして下さい。
あまりに安価であったり、また酸化しづらいとは言っても光を浴びやすい安っぽいプラスチックの容器や袋に入っていたりするものは品質が低い可能性があります。上記2つの確認を行い、しっかりとしたビン容器に入っていれば高品質である可能性が極めて高いと言えます。
参考までに、
・<悪い例>KIRKLAND オーガニック ヴァージン ココナッツオイル 1.2kg
「バージンココナッツオイル」と記載があっても、その認定基準が特にあるわけではないの他の項目と重ねて確認する必要があります。12か月分とあまりに大容量であるのもNG。いくら酸化しにくいココナッツオイルだとしても、開封から1年間耐えられるとは考えにくいですよね。容器もプラスチックで非常にチープな印象。精製方法の記載もありません。
・<良い例>有機エキストラバージンココナッツオイル(425g)ブラウンシュガーファースト
有機栽培のココナッツ胚乳を低温圧搾(コールドプレス)したココナッツオイルで、しっかりとしたビンに詰められています。悪い例の商品は、いかにも大量生産されたも印象を受けますが、こちらは一つ一つが丁寧に作られている印象を感じ取れます。
ココナッツオイルの効果
ココナッツオイルにはビタミンEを豊富に含んでおり、肌の酸化を抑える抗酸化作用があります。
ビタミンEは脂溶性ビタミンと呼ばれ、美容液や乳液、クリームなどの化粧品に多く含まれています。ちなみに抗酸化成分としてよく聞くビタミンCは水溶性ビタミンなので化粧水に含まれています。
ビタミンCやビタミンEの特徴は、飲むだけでなく体に塗ることでも抗酸化作用があるということ。従って、極端なことを言うとレモン汁をタオルに絞って体を拭いても抗酸化作用が働くことになります。
ビタミンは体の中でため込むことができない非常に貴重な成分(毎日取らなければいけない成分)なので、ココナッツオイルそのものを否定するわけではありませんが、わざわざ高価なココナッツオイルを塗らなくても、今ある化粧品でも十分に同様(もしくはそれ以上)の効果を感じることができます。
肌荒れやニキビ対策としての効果は
ビタミンEを含んでいるため予防としての一定の効果はあります。
ただ、肌荒れやニキビを病院に行かずに治す方法や他の記事でも何度も解説していますが、化粧品は医薬品ではないので治療することはできません。
このココナッツオイルも同様。あくまで「予防用」であることは忘れないでください。肌荒れ・ニキビといった炎症は嫌気性菌であるので、ココナッツオイルやその他化粧品を塗って空気から遮断されてしまう状況下ではかえって症状を深刻化させてしまうことにもなりかねません。
流行に乗ってそれを試すのは確かに楽しいですが、肌というのは非常に繊細なものです。実践するときは十分に調べて、それが最適なものであるか確認してから行うようにしましょう。