乳液やクリームではなく、「ワセリン(ヴァセリン)」が安全と言われているのはいくつかの理由があります。
しかしここで注意していただきたいのが、安全なのと効果があるというのは別の話だということです。
ワセリンには化粧品に含まれるいわゆる「美容成分」は一切含まれていません。ワセリンに含まれるのは純度の高いミネラルオイルのみ。もともとワセリンは火傷治療や耐水・雑菌予防を目的に作られた天然の絆創膏のような役割を果たすものなので、「化粧品」のような見てくれに関する配慮はありません。
従って、たった少量でもベタつきやテカリというのは顔面上から確認できてしまうというデメリットがあります。
ワセリンが乾燥肌にいいと言われる理由
ワセリンが乾燥肌に対して有効と言われているのは、化学合成成分や毒性を伴う成分を含んでいないためです。
乳液やクリームのような同型の油分系化粧品であると、水溶性と脂溶性の成分を配合するための界面活性剤が必ず使用されるのですが、これは敏感肌の方だと刺激や炎症を伴うことがあるため、肌に合う・合わないという個人差が生まれてしまうのです。
対してワセリンであれば、配合されているのは「ワセリン」のみ。本当に「ただの油」なので副作用や危険を伴うことは考えられません。水をはじき、雑菌の侵入を防ぐため病院でもしばしば処方されます。
乾燥肌の原因と対処法については以前解説しましたが、これは肌表面の保湿膜が壊れ、皮膚がペラペラと細かくめくれ、肌内部の水分が蒸発してしまっている状態をいうのです。この水分が飛んでいってしまっている隙間から雑菌や紫外線が入り込み、皮膚に刺激を与えるため、乾燥肌は痒みや痛み、皮膚炎などを発症しやすくなっているのです。
従って、これをカバーするようなワセリンは乾燥肌にとって有効なのです。
ワセリンのデメリット
ワセリンは非常に安価(1年分が500円程度で購入できたりします)で安全性も高いのが特長で、小さなお子様やアトピーの方に人気です。
しかし、そのほとんどが化粧品として作成されているわけではなく、本当に「ただの油」なので肌のベタつき・テカリはたった少量を顔に塗布しただけでも目で確認できてしまいます。
私もサラリーマンとして働いている身ですが、当初「ワセリンがいい」という情報だけを鵜呑みにしてしまい、顔面がギトギトの状態で出勤してしまったことがあります。耐水性に富んでいるというのも、肌の乾燥や炎症を守る上ではいいかもしれませんが、顔を洗ってもなかなか落ちないということにもびっくりします(笑)
会社で顔のギトギトを指摘され慌てて顔を洗いに行きましたが全く落ちず、仕方なく備え付けのハンドソープで洗いました。。。
化粧品を使用する大きな目的は「不足成分を補給する」ことだと思います。乾燥肌の方であれば、保湿成分や油分の補給を目的にしていると思います。しかしワセリンではこれができません。ワセリンは純粋に肌を保護することを目的としているため、見栄えについての配慮は一切ありません。
乾燥肌にワセリンの使用を検討するなら
乾燥肌を「守る」という点においてワセリンは非常に有効であることは解説の通りです。しかし私たちがイメージする「化粧品」のような使用方法でお使いになると痛い目を見ます。
「少量を手に取り、つけすぎないように」という注意書きは、Amazonやあらゆるショッピングサイトの口コミにも書き込まれていますが、自分が思っているその半分の使用量で構わないでしょう。
また敏感肌やアトピー体質でなければ無理してワセリンを使う必要もありません。季節によって肌質が変わってしまう方や、冬場の乾燥対策としてなら油分ではなく保湿成分重視の乾燥肌用化粧品をお使いになった方が肌には負担がかかりにくいのではないかと思います。